国道17号の八木橋デパートの向側、野口医院の横を南に進むと、市内の喧騒と別世界の名勝・星渓園がある。元和9年(1623)に荒川の洪水により当園の西方の北条堤の土手が切れ、池が生じた。この池は清らかな水が湧き出て「玉の池」と呼ばれ、湧き水は市内の星川の源流となっていた。
慶応年間、当地の竹井澹如翁が、ここを別邸として池を中心に多くの植物を配し、名石を置き、「池亭」と称した庭園を造った。この庭園は回遊式庭園といわれ、池畔、島を歩いて鑑賞する形式の庭園で、総面積3613平方メートル、池の面積は1020平方メートル。建物は三棟現存しているが、中心的建物が「星渓寮」で、12畳半の一の間を中心に二の間、前室、茶室、立札席があり、月見台、坪庭を配してある。「松風庵」は二室からなる庵室で、数寄屋の建物のたたずまいを見せている。「積翠閣」は昭和5年に澹如翁の長男・耕一郎氏によって建てられた。高床式で、和室と洋室と月見台を持ち、庭園の庭園の眺望がすこぶる良い。玄関を入ると、星渓園澹如翁の資料が展示してある。
昭和25年に市が譲り受け、平成2年から4年にかけて復元、整備された。星渓寮の前庭には袖振り石、天桂石などの名石が置かれ、植物は百数十種、十王供養塔、灯籠、句碑などの石造品がある。
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