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フィンランドの春 |
留学や仕事で海外にすんでいる方にメディアを通した目ではなく、
ご自分で見たこと、聞いたことを伝えていただくコーナーです。
第25回目はフィンランド・バンターにお住まいのすおみさんです。 |
雪が溶け、暖かくなると一気に花が咲き始めます。緑も長い冬に貯めていたものを一気に放出するかのように、青々とした芽を噴き出します。そして、休日にはお散歩をする人を良く見かけるようになります。お散歩と言っても、フィンランド人にとって散歩は『スポーツ』です。1、2時間,kavelysauvatと呼ばれるスキーのストックに似たものを両手に持って、公園や森の中をひたすら歩き続けるそうです。森と湖が豊富なフィンランドでは歩道も幅広く、緑の中を歩くのはとても気持ち良いのですが、2時間も歩くと、翌日には足が筋肉痛で歩けなくなります。 |
3月にはイースター休暇があり4連休でした。日本では祭日にお店が閉まる事など考えられませんが、ここフィンランドでは殆どのお店が連休の間はお休みで全く買い物ができません。もちろん普通の食料品が売っているようなスーパーも例外ではありません。これは、フィンランド人の殆どがキリスト教に属しているからだと思われます。「休日だから休む」それが当たり前の事なのです。
イースターに欠かせないデザートと言えば、たまご形のチョコレートですが、フィンランドではそれに加えて『マンミ』と呼ばれる黒くて甘い食べ物が欠かせません。ライ麦とライ麦酵母に糖蜜などを練り混ぜて作られたマンミは、黒いペースト状になっていて、見た目に驚かされます。砂糖やミルクなどを好み出かけていただくと美味しいのだとか。
私は苦手なのですが、この時期にフィンランドに来られる機会があれば、ぜひ試して頂きたいものです。 |
みんな、白い帽子を被って街へ繰り出します。
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毎年5月1日は『VAPPU』と呼ばれ、フィンランドの一年の中で一番大騒ぎをする日です。前日の夜からヘルシンキの街へ行き、夜通しお酒を飲んでメーデーを迎えます。皆、一様に学校卒業時に購入した白い学帽を被って街に繰り出します。もちろん街中は酔っ払いだらけ、普段は物静かなフィンランド人からは想像が付かないほどの騒ぎようです。所々、酔いつぶれて路上に寝てしまった人の為に、ケアをする人と酔っ払いを寝かせておくテントがあるそうです。さすが、福祉の整ったフィンランドです。更に学生達にとっても特別な日で、グループや学科によって違う、おそろいのつなぎを着て街をねり歩きます。つなぎの色はピンクや緑、黄色など色とりどりで酒宴に花を咲かせています。 |
手前の小さな苗木が桜です。
数年後には満開の桜の木の下でお花見が出来るかしら?
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日本の春を象徴する桜。ここ、フィンランドにも見ることが出来ます。
『日本庭園』として温室の中で育てられ、大きく成長した今では窮屈そうに花を開く桜。そして『桜公園』にも、まだ植えられて数年ほどの苗木が花をつけます。フィンランドの土地は殆どが岩地なので木が深く根をはれず、大きな桜は植えられないそうですが、小さくても桜が見られると嬉しいものです。
そして、今年の5月に『桜公園』で初めてのお花見が開催されました。日本のように、満開の桜の木の下とはいきませんが、日本を好きなフィンランド人によるお花見は、自分の作った盆栽や水墨画を展示したり、畳の上でお茶を立てていたり、もちろんお寿司も売っています。そして、着物を着た若い女の子(もちろんフィンランド人です)がパラパラを踊っている姿もありました。これがフィンランド人から見た日本の文化だと思うと、とても面白かったです。 |
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