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2014年1月31日更新
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デンマーク経済と労働市場政策
留学や仕事で海外にすんでいる方にメディアを通した目ではなく、
ご自分で見たこと、聞いたことを伝えていただくコーナーです。
第71回目はデンマークにお住まいのゆみぞうさんがお送りします。
デンマークは大きさにして九州位、人口は埼玉県民よりも少ない560万人ととても小さい国です。ヨーロッパでも北部に位置し、その厳しい環境の影響もあり、1970年代までは欧州の病人と言われるほど経済的に弱かったそうです。しかし今では、各国から研修ツアーが組まれたり、留学生がやってくるほど優れている農業経営による高い生産性や、北海油田の開発による原油、天然ガスの輸出のおかげで豊かな国になりました。国債累積額も一時はGDP(国内総生産)の68%相当にまで上がりましたが、2008年には33.5%に減少、2倍に迫る日本に比べて遥かに余裕があります。
電力発電も経済に貢献しています。
デンマークにおける職業教育は義務教育終了後から始まります。コースは大きく分けて2つ、日本で言う高校にあたる中等教育と職業訓練校です。中等教育も工業高校系、商業高校系、普通教育系と分かれており、普通教育系に通う学生はほんの一部です。そしてほとんどの生徒が大学に当たる上等教育課程を受けます。一方職業訓練校の内容は学校での授業と職場での実習の2本立てで、一定の賃金が支給されます。生徒は自分で実習先を探し、多くがプログラム終了後その場所に正式に就職します。つまり、皆16、17歳の時点でどのような職業に就きたいのかを明確にしているのです。これ以外にも成人向けの教育があり、全労働者の45%が就労した後も生涯教育を受けています。このことから労働者の質の高さが伺えます。
それでも2008年におきたリーマンショックはデンマークにも大きく影響与え、その年のGDPは−1.9%、翌年は更に悪化し−4.9%にまで下がりました。2010年には+になりましたが、失業率は今でもリーマンショック以前の2倍の7%強です。経済悪化の為に国や自治体の予算もかなり削減され、職員の数も減らし、求人もしばらくなされない職種もありました。仕事の量は同じなのに人員が少なくなったので、一人一人の負担が多くなりました。それなので失業者達だけではなく、新卒者、労働者達からも多くの不満が出るようになりました。
国民は2012年に出来た新政府に期待を寄せました。しかし、選挙時に掲げた目標もなかなか現実に結びつかない状況です。毎年元旦に総理大臣がスピーチをするのですが、今年は今までのように理想を掲げた内容ではなく、国民団結を訴えたものでした。労働者の36%は公務員ですが、それ以外の職を増やそうと画策しています。中小企業を支えるため、法人税率を2016年までに25%を22%に下げると共に、13兆500億円相当の予算を支援に使う計画でいます。
仕事が無くても失業保険に加入していれば、2年間は受給できます。日本は最長360日間、平均100日とのことですから、恵まれた状況にあります。でも楽をしてはいられません。オンラインネットワークに求職登録を行い、ジョブセンターの職員との定期的な面接、週一回の求職活動の報告の義務、それに必要と判断された再教育プログラムを受けなくてはいけません。私の友人は仕事がきつくて辞めましたが、仕事が無い今の方がつらい、何でもいいから早く仕事を見つけたいと弱音を吐いていました。デンマーク人でもなかなか仕事が見つからない今、私達のような外国人にはさらに厳しいのです。私はたまたま友人の仕事の手伝いをさせてもらえる事になったので、本当にラッキーでした。
履歴書の書き方、面接の仕方、コーチングなど、
いろんなテキストが配られ、勉強しなくてはなりません。
隔月で記事を書かせていただいていましたが、今回で最後となりました。
こちらに移住して約12年、長所も短所もありますが、個人個人が環境や政治に強い関心を持ち、積極的に意見を出したりデモを起こしている姿を私達日本人も見習うべきなのではないかとお伝えしたい気持ちでいました。
もし私の記事を読んでデンマークに興味を持ったり、日本との違いを考えていただいた方がいらしたら嬉しいなと思います。
今までつたない記事を読んでくださり、ありがとうございました。
取材者:ゆみぞうさん
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