「ノルウェイの森」。村上春樹独特の世界観で、喪失感と孤独感、再生を描いた作品で、誰もがこの本のタイトルを耳にしたことがあるほど、有名な作品ではないだろうか。
最初に読んだのは、高校一年のときだったと思う。きっかけは、緑と赤の装丁がきれいで、当時ベストセラーであるという容易なもの。いまでは、この本に出会えたことを感謝している。これほど強烈に影響を受けた作品は、今までに一度もなく、何度も読み返し、いまでも影響され続けているといっても過言ではない。この本を読んでからは、ビートルズを聴くようになり、草原の風景に憧れ、そして手紙を書くようになった。
この物語は、人との心のつながりの大切さと、人に気持ちを伝えることの難しさを教えてくれた。この物語のキーワードは手紙だと思う。主人公は、気持ちを伝えるのに手紙を書く。電話ではなく、手紙に自分の気持ちを託す。自分の手により、気持ちを文字にするということは、電話やメールよりずっと重く、贅沢なことだと思う。メールや電話よりも便利なものが発明されるかもしれない。しかし、手紙という方法があることを忘れないでいたいと思う。 |