島本さんは、第128回、それから、「綿矢りさ」「金原ひとみ」のダブル受賞で沸いた第130回の芥川賞に、17歳という若さでノミネートされた実績を持つ新進作家です。
この「シルエット」は、そんな島本さんのデビュー作で、元カレのシルエットを追い求める、女子大生を描いた作品なのです。
元カレを今の彼に重ねたりしながら、どうしても元カレへの想いを断ち切れない主人公の気持ち。そんな彼女を察しているのか、それをも包括してやさしくして支え、見守ってくれる今の彼との微妙な距離感。そんは、読んでいて切なくそして悲しいものです。
この作品は、研ぎ澄まされた完成と文才を持った、17歳の彼女だから描けたのかもしれないです。また、シルエットの後に収録されている短編2篇は、彼女が15歳のときの作品だというから、その非凡な才能がこれからどれだけ伸びるか、わたしが大いに期待をかけている作家なのです。 |