くまがやねっとは、埼玉県熊谷市近隣の情報をお届けする非営利のコミュニティサイトです。
くまがやねっと
みんなのコミュニティサイト「くまがやねっと」へようこそ!
HOME>熊谷市文化財日記 アネックス →お気に入りに登録する →お友達に紹介する




くまがやねっと情報局
熊谷市文化財日記 アネックス
2012年7月19日更新 →バックナンバー
今回のテーマ

市内遺跡の発掘調査報告@


 熊谷市立江南文化財センターは、「つくる、しる、ふれる」を基本コンセプトにして、市内の文化遺産として伝えられた「文化財」の収集、保管、調査および研究を行うとともに、これらの文化財の活用を図り、未来へ継承していく仕事をしています。
 「熊谷市文化財日記」を通して、市内にある素晴らしい文化遺産を多くの皆様にお伝えすることができたら幸いです。さあ、文化財という新たな旅へ一緒に出かけましょう。

江南文化財センター  TEL 048-536-5062
熊谷デジタルミュージアム
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 平成23年後半から24年に掛けて熊谷市教育委員会では次の発掘調査を実施しました。遺跡(地域)は、諏訪木遺跡(上之)、前中西遺跡(上之)、樋の上遺跡(拾六間)、王子西遺跡(弥藤吾)、杉之道遺跡(弥藤吾)、箱田氏館跡(中西)であり、それぞれについて紹介します。

諏訪木遺跡
「弥生時代の方形周溝墓群・中世の遺構等を確認」
 発掘調査では、弥生時代中期後半以降の方形周溝墓群、古墳時代前期・後期の竪穴建物跡、終末期の古墳、中世の溝跡・溜池状遺構・井戸跡、近世の井戸跡等を確認しました。弥生時代の方形周溝墓は5基検出し、全長17m程のものを含みます。中世の溝跡は区画の可能性があり、青
磁・白磁・かわらけ等が検出し、近接
熊谷市文化財日記アネックス
方形周溝墓の溝底
する溜池状遺構からも板碑・かわらけが出土していることから、屋敷跡であると推察されます。これは『新編武蔵野風土記稿』に記載された、成田一族の秋葉七郎の館跡である可能性があります。


前中西遺跡
「水辺の祭祀場と考えられる住居跡を発見」
 発掘調査は、上之土地区画整理事業地内、熊谷総合病院の東側において実施しました。調査では、弥生時代から古墳時代にかけての住居跡6軒のほか、水路と考えられる大きな溝跡2条などが発見されました。古墳時代中期の住居跡では、土師器・高坏(たかつき)が8個体以上出土したほか、壺や坩(かん)という土器もみら 熊谷市文化財日記アネックス
出土した土師器・高坏
れ、これらは神様に供物(くもつ)等を奉げる器として祭祀色が濃いもので、近接して幅広い溝跡が発見されていることから、この住居跡が水辺の祭祀場としての機能をもっていたものと考えられます。           


樋の上遺跡 「奈良・平安時代の竪穴住居跡を確認」
 市内拾六間の樋の上遺跡では、幼稚園校舎建設に伴う緊急の発掘調査を実施しました。今回の調査では、奈良・平安時代の竪穴住居跡が1軒、溝跡1条、時期不明の土坑2基、ピット等が見つかりました。樋の上遺跡では、これまでの調査により古代の大規模集落が広がっていることが分かっており、今回の調査はその一端を明らかにすることができました。 熊谷市文化財日記アネックス
竪穴住居跡の発掘調査


王子西遺跡 「平安時代の鍵が出土」
 発掘調査では、平安時代(10世紀前後)の住居跡3軒と、掘立柱建物跡1棟、溝跡等を確認しました。溝跡からは、鉄製の鍵や矢の先がY字状になった鉄鏃が出土しています。鍵は、倉庫などの建物につけられた施錠具と考えられ、本遺跡は、一般集落とは異なる性格の集落であったことが推測されます。 熊谷市文化財日記アネックス
住居跡の検出状況


杉之道遺跡 「平安時代・近世の溝跡を確認」
 発掘調査では、平安時代と近世の溝跡3条を確認しました。また、本調査地点は、部分的に、地表下80cm程の深さに層厚20cm程の砂が堆積しており、そこから亀裂に添って砂が吹き出ている状況が確認され、中世以降の地震による噴砂の痕跡(右写真)と考えられます。 熊谷市文化財日記アネックス
方形周溝墓の溝底


箱田氏館跡
「弥生〜古墳時代の方形周溝墓からヒトの歯と
首飾りを検出」
 1月〜3月まで行った上之地区の発掘調査では、縄文時代後期(約3300年前)の集落・遺物包含層と古墳時代前期(約1700年前)と思われる方形周溝墓を確認しました。縄文時代は大量の土器や土偶などがみつかっています。方形周溝墓は時期が断定できませんが、お墓を区画する溝(周溝)から溝内土坑を検出し、覆土よりヒトの歯や首飾りが出土したことから、埋葬施設であることが判明しました。溝内土坑からの人骨・副葬品の共伴出土は県内で初見となる事例です。 熊谷市文化財日記アネックス
出土した首飾り(勾玉、管玉で構成) 

フォーカス特集 
熊谷市内の古墳群@

別府古墳群
熊谷市文化財日記アネックス  別府古墳群は、主に東別府地区の櫛挽台地北東端付近に点在する古墳時代後期の古墳群で、前方後円墳・カンニチ山古墳のほか16基の存在が確認されています。その多くは墳丘を失い、現在はほとんど見ることができません。いくつかの古墳については調査され、埴輪等の出土品が知られています。現在、埼玉県立さきたま史跡の博物館所蔵の農夫埴輪(写真)は、本古墳群のヤス塚古墳出土のものです。


奈良古墳群
熊谷市文化財日記アネックス
 奈良古墳群は、主に中奈良地区、妻沼低地の自然堤防上に所在する古墳群で、かつては多くの古墳が所在したと推察されますが、前方後円墳・横塚山古墳(市指定史跡・県選定重要遺跡:写真)が確認されているだけです。この古墳は、国道407号線道路改良工事により後円部の一部が失われていますが、全長30mの墳丘が良く残る古墳です。発掘調査により出土している円筒埴輪の特徴から5世紀後半に造られたものと考えられます。



作成日:2012年7月11日/作成者:江南文化財センター

→バックナンバー


HOME Pageの上へ↑

みんなのコミュニティサイト「くまがやねっと」
Copyright© くまがやねっと. All rights reserved. サイトマップ お問い合せ くまがやねっととは?
運営会社:大和屋株式会社