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2013年5月31日更新
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鹿形
(しかがた)
埴輪と猪形
(いのししがた)
埴輪
−女塚2号墳−
熊谷市立江南文化財センターは、「つくる、しる、ふれる」を基本コンセプトにして、市内の文化遺産として伝えられた「文化財」の収集、保管、調査および研究を行うとともに、これらの文化財の活用を図り、未来へ継承していく仕事をしています。
「熊谷市文化財日記」を通して、市内にある素晴らしい文化遺産を多くの皆様にお伝えすることができたら幸いです。さあ、文化財という新たな旅へ一緒に出かけましょう。
江南文化財センター TEL 048-536-5062
熊谷デジタルミュージアム
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「これ馬じゃないかねー」という作業員さんの声に振り返ると、確かに馬形埴輪が横に倒れた格好で出土していました。「すごいね。胴体から足まで一頭分が揃っていそうだから、ていねいに進めてね」との監督者の声に、「こりゃ人の顔だよ」、「男かねえ、女かねえ」、こんな会話が続く中で作業が進められていくと、馬形と馬を曳く人物の埴輪が続々と出土したのです。これは、女塚1号墳に隣接した女塚2号墳の墳丘部北面の形象埴輪群の中での話です。
さらに周りを掘ると、顔は口先をやや細くし、口の両側に円形の切込みが入れられた動物埴輪がみつかりました。眼はやや細目に開けられ、後方には両耳が上向に立っていました。耳の後ろには角が立っていた様子が伺えます。鹿である可能性が高くなってきました。首をやや左にかしげ、お尻に至る流線型を見ればまさしく、愛らしい鹿形埴輪であることが分かりました。
また別の位置からは、半月形に二つの穴があけられた埴輪片と、眼がどんぐり形の動物が出土しました。「こりゃ豚だよ」という意見が多かったのですが、口の端をよく見ると両側の同じ部分に欠損した跡が見え、ここに牙が付いていたことが推察できました。また首の後ろ側の中央にも縦に剥離した部分があり、たてがみの跡であることが分かり、この埴輪が興奮した猪形の埴輪(下写真)であることが決定的になったのです。猪は、当時身近な動物であったと思われ、古墳上での儀式を表現するため作られたと考えられています。出土後、鹿形埴輪と猪形埴輪は共に修復され、大切に保管されています。
作成日:2013年5月27日/作成者:江南文化財センター
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