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2006年10月27日更新
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第17回 秘密の花園
〜花園フラワーショー開催地について
今回は、花園フラワーショーのイベント地である“花植木の里・花園”についてご紹介致します。
花植木の里・花園って?
“花園町”という地名が、地図上からその名を消したのは、今年の1月1日のこと。2006年1月1日をもって、花園町は、深谷市・岡部町・川本町と合併し、新・深谷市としてスタートしました。“花園町”というおとぎ話のようなこの町名は、町の内外を問わず、誰彼からも親しまれていましたが、117年の歴史に幕を閉じることになりました。
花園町の歴史を遡ると、明治22年町村制が施行されるに当たり、戦国時代にこの地を領地とした武将・藤田氏の城“花園城”の名前を採用することになりました。遥か遠い昔から、脈々と引き継がれ、愛され続けた名前です。
花植木の里 〜花にまつわる歴史
この地が、花植木の里としての歴史を歩み始めたのは明治時代、ユリの球根生産からです。そして、終戦後。日本中が、焼け野原になり、多くの人が家も庭も失ってしまった時代。食べるものにも事欠き、“衣・食・住”も侭ならない頃、花の需要は、ほぼ米軍関係者が愛でる為のものでした。生産された花は、花売り行商人によって東京で、販売されました。ゴザで花束をくるみ、背中に花籠をしょって出稼ぎに行く人の姿が、多く見られたそうです。その当時、“花売り電車”という愛称で親しまれた東武東上線は、こういった行商人で賑わっていました。
花・植木の里 〜樹にまつわる歴史
植木の歴史については、明治時代・外貨を稼ぐ手段として花園町周辺では、養蚕業が盛んだったことから、お蚕様のエサである桑の木が当時からたくさん生産されていました。この名残として、数は減少したものの未だに桑の木畑が見られます。
一方、植木の歴史も、終戦後に新たな展開を迎えます。戦争や、産業発展の燃料用に山の木がなぎ倒され、見る影もないほどのハゲ山になってしまいました。その為、山に植栽が必要となり、スギ・ヒノキ苗の生産が始まりました。花園町周辺地区の農家の大半が、生産に関わり、全国各地で、当地で生産された苗が販売されたそうです。植木の生産は、時代の変化に伴って、養蚕業→林業→造園業という変遷を辿り、仕事の内容も多岐に渡るようになり、今現在、様々な要素を含むようになっています。
花園フラワーショーのこれから
“花園町”無き後、何年・何十年とたつにつれ、この地の名前も忘れられてしまうのではないか…、という危惧があります。しかし、私達イベント関係者は、“花園フラワーショー”というイベントを通じて、この名前を残していきたい、と痛切に感じています。植木生産及び造園業も、日本の戦後の歴史、経済成長の波と共に発展と衰退を繰り返して、今に到ります。
…でも。言えることは、ひとつある。
時代が移ろおうと何が変化しようと、樹は生き物です。
先代から引き継いだ恩恵を確実に私達に与えてくれています。
それは、仕事面のみならず、地球環境、ひいては、人の精神衛生上にも
プラスの影響を与えてくれる存在です。
花園フラワーショーもまた、次世代の人達へ引き継ぐものとも言えます。
戦後、本当に何も無かった時代から、ガーデニングブームの到来・衰退、
その波を超えて、園芸文化が成熟しつつある今、改めてここから
発信するべきことは何だろうか、とこの場所に関わる一人として
見つめ直す必要があるのではないかしら、と思っています。
絵本“木を植えた男”のプロローグ。書き出し部分には、こうあります。
人びとのことを広く深く思いやる、すぐれた人格者の行いは、
長い年月をかけて見定めて、はじめてそれと知られるもの。
名誉も報酬も求めない、まことに奥ゆかしいその行いは、
いつか必ず、見るも確かな証を地上にしるし、
後の世の人びとにあまねく恵みを施すもの。
この文章に触れる度、過去・現在・未来を思わざるを得ません。Handmade Future〜手作りの未来。花園フラワーショー・ガーデニングコンテストが掲げるこの想いも、参加して下さる皆さんに届きますように。たくさんのご応募、心よりお待ちしております。
お問合せ先
花園フラワーショー実行委員会
tel:048-584-6922
参考文献
・花園町閉町記念誌「声」花園の将来を考える会 編 /
「木を植えた男」ジャン・ジオノ 原作
今回の原稿は、上記参考文献と、花園町住人の方から伺ったお話をまとめています。事実関係と異なる記載がございましたら、予めご了承下さい。
取材日:2006年10月20日/取材記者:フラワー
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