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未完成でよい庭
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南と北が公道に面した好立地のガーデンです。
150坪の敷地に北側玄関前はしっとり和風の趣が来客の心を和ませてくれます。
南側に回ると、それぞれの季節を演出してくれる木々が植栽され、そこに自然に寄り添うように下草が茂り四季それぞれに咲き誇るナチュラルガーデンです。 |
15年前、東京の借家の土を気が付いたら掘り返していた。涙を流しながら夢中になったのだから、よほどの事があったのだろう。
熊谷は、だから庭ありきで住む所を願望した。飽きっぽい私なのに続いている。押し付けがましくなく、しかし手入れの意図に多くは反して息づく庭の時間経過が好きだ。
大仰に言えば庭は哲学するところである。 |
道行く人にホワイトガーデン |
―<秋>―
白い庭となる。薄の穂波が光る。西洋藤袴や秋明菊、アイスバーグが混在して風になびき、雨に打たれる。我が庭が一時、ホワイトカーデンになる。 |
薄の穂波 |
―<冬>― 空っぽの裸木にかかる巣箱や飼育台。何かで埋め、いっぱいに充たしたくなる欲望を抑えてみる。
二つの巣箱は小鳥に敬遠された今年の春。ジバトが二羽のヒナを近くのカエデの木で育てた。 |
裸木と飼育台 |
―<春>―
旬日で花がかわる。あわただしいこと限りなく、待てと命じたい。
木の花が品高く咲く。地表に群れ咲く花たちもよくぞ咲いたと愛しい。
牡丹とバラの共生が好きだ。「あらバラもあるのね!」とよく言われる。 |
木の花が品高く咲く |
バラのアーチ |
―<夏>―
やはり水辺である。もっと広げたいと思わせる。小さな生き物が育って いく。しゃがんで見つめたい。
夏日には太陽光が水面に反射して住まいの天井に揺らめきを与える。 |
夏の水辺 |
―<最後に感謝を>―
身内を讃めることになるが、オープンガーデン花友遊の仲間になれたことを最大のよろこびと感ずる。庭の亭主である各個人はエネルギッシュな人が多い。足りることを知り果敢でありたいと私も願う。 |
未完成でよい庭 |
年間を通して生活に潤いと安らぎを与えてくれるガーデンでした。
何気ない下草の色彩と揺らめきが木々を引き立たせ随所に庭主の心憎いこだわりが感じられ、ほっとする空間を演出いています。
取材中にリビングから雨上がりのススキに太陽の光がさし込み銀色に光るさまは素晴らしかったです。ゆったりと時間が過ぎる贅沢な一時でした。 |
(写真・文提供 熊谷市肥塚4-117 飯田妙子様宅の庭) |
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