来年は辰年です。ご存知の通り、動物は「龍」ですが十二支の中で、実在しない霊獣です。
新漢語林で「辰」を調べてみました。「蜃」の原字とあります。それでは次に「蜃」の項を見ますと、大ハマグリのこと。気を吐いて楼台(蜃気楼)を現す。そうです「蜃気楼」です。蛟の一種とあります。
それでは「蛟」の項を見ましょう。蛟は水中に住む想像上の動物。龍の一種。蛇に似て、四足があり、大きいものは人を呑むという。
ようやく龍にたどり着きました。中国などでは縁起物として祀られることが多く、鯉が滝を上って龍になると言われ、そこから登龍門なんて言葉が出来ていたりします。
来年こそは昇龍のように世の中が、登り調子になって欲しいものです。
この龍は、妻沼聖天山本殿をはじめ寺社の霊獣として建築彫刻の題材として、最も人気が高く彫物師の腕の見せ所のようでした。
今回は龍の彫物を取り上げました。
●妻沼聖天山貴惣門
嘉永4年(1851年)に完成。聖天堂再建の大工棟梁林兵庫正清から数えて5代目の林兵庫正道が手掛け、彫物師石原吟八郎の技を引き継ぐ石原常八主信、主利親子が彫刻を担当しています。聖天堂と比較すると彫刻の変化が見て取れます。
●日光東照宮陽明門
龍の彫刻といえば、やはり日光東照宮です。寛永の大造替を行った3代将軍家光は「辰年」生まれです。霊獣彫刻の中で龍が最も多く彫られています。
古代中国では王権のシンボルであり、皇帝の代名詞となっていました。
●冠稲荷神社・聖天宮日高社
妻沼聖天山から約8キロ、冠稲荷神社(群馬県太田市細谷町1)があります。その境内の聖天宮日高社は、安政4年(1854年)に再建、彫刻は花輪村の弥勒寺音次郎・音八親子です。社殿天井に取り付けられた黄金の龍は見事です。
●小泉神社
妻沼聖天山から約7キロ、小泉神社(群馬県大泉町城之内1-8-18)があります。創建は元慶7年(883年)と古く、境内の大欅は樹齢300年以上と由来記にあります。本殿は嘉永年間(1848~1854年)に造られ、彫刻師が不明のようですが、写真の正面向拝柱の龍は、波と雲と龍が一緒に彫られた迫力のある作品です。
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