群馬県館林市に妻沼聖天山歓喜院聖天堂と類似した聖天堂があったという情報を、偶然知りました。
大変興味が湧き、早速調査を開始し、今回の記事にしました。
今回の調査にあたり、館林市市史編さん室の職員の方にご指導、ご協力をいただきました。
館林天福寺聖天堂
確かにありました。最初に閲覧した群馬県精髄邑楽郡誌の記述に驚きました。
邑楽郡誌によると天福寺聖天堂は、延應元年(1239年)に創建され、その後、5代将軍徳川綱吉が館林藩主の時代の1670年代に大修理が行われました。修理にあたり、日光東照宮で活躍した名工やその弟子に人物花鳥を彫刻させ、その巧妙精緻は日光東照宮を彷彿させたとの記述があります。
妻沼の聖天堂が再建される60年ほど前になります。
写真の撮影された時代は不明ですが、この館林の聖天堂は大正元年8月に焼失してしまい、大工棟梁、彫師などを明らかにする資料は残されていません。
五宝寺聖天堂
天福寺は明治維新後、荒廃してしまい、隣接する五宝寺に明治四十年合併し廃寺になっています。合併後、聖天堂の保存活動は行われたようですが、大正元年に焼失。幸い歓喜天は焼失を逃れ、現在は五宝寺聖天堂に安置されています。
長良神社
館林駅の北東、徒歩では20分ほどに台宿町地区があります。江戸時代は天福寺、聖天堂、五宝寺と長良神社が並び、多くの参拝者が訪れたことが想像できます。写真の長良神社の右側に現在中学校が建っていますが、この校地が天福寺跡なのでしょう。
日光東照宮大造替から100年後に妻沼の聖天堂の再建。その中間で館林に聖天堂が建てられていたことは、新たな興味が湧きます。 |