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第12回 ムサシトミヨ 元荒川(もとあらかわ) 2005年5月25日更新


 ムサシトミヨはトゲウオ科トミヨ属の魚類で大きさが3.5〜6.0cmほどの小さな魚です。背ビレ・腹ビレ・尻ビレにトゲを持ち、敵から身を守るときなどにとげを出します。このようなトゲを持つ魚を“トゲウオ”と呼びます。
 ムサシトミヨは1991年に元荒川ムサシトミヨ生息地として県の天然記念物に指定され、その年の11月には埼玉県の魚に選ばれました。

( 写真提供 埼玉県農林総合研究センター水産研究所 )





ムサシトミヨの一生
ムサシトミヨの一生
 トゲウオの仲間は、みな巣を作ります。ムサシトミヨも、小鳥のように巣作りをします。産卵は1月〜9月頃で、オスは水草を集め、腎臓から粘液を出して、しっかりした水草にピンポン玉ほどの巣をつくります。また、体が黒い色(婚姻色)にかわります。
 メスは巣の中に40〜50個ほどの卵を産みます。卵は1.5mmほどの非常に小さなものです。そして2〜3回卵を産むと死んでしまいます。産み付けられた卵はオスが守ります。オスはヒレで巣の中に新鮮な水を送り(ファンニング)、卵に酸素を補給します。卵は10日ほどでふ化し稚魚になりますが、稚魚が巣立つとオスは死んでしまいます。ムサシトミヨの寿命はおよそ1年です。


生息個体数調査(H13.1)


現在の元荒川
ムサシトミヨのすんでいるところ
 ムサシトミヨは、冷たくすんだ湧き水(水温10℃〜18℃)にすんでいます。湧き水があちこちで出ていた昭和30年代頃までは、埼玉県上里町・本庄市・川越市や東京西部でも見られましたが、今では熊谷市の元荒川だけにしかすんでいません。
 平成13年1月に行なった調査の結果、元荒川には33,000匹くらいのムサシトミヨがすんでいると考えられています。


元荒川について
 ムサシトミヨのすんでいる元荒川は住宅地を大きく曲がりながら流れています。
 文化財指定区域“元荒川ムサシトミヨ生息地”は、熊谷市ムサシトミヨ保護センターから約400mの元荒川上流です。ここには周辺家庭からの生活排水が流れ込まないようになっています。
 上流域は川岸にヨシやショウブが見られ、コカナダモが密集しています。水の流れはゆっくりしています。中流域は川幅が狭く流れの速いところで、ミクリが多く見られます。下流域は人家が川にそってたちならび、護岸されているところもあります。ミクリ、エビモ、オランダガラシなどが見られます。


ここでムサシトミヨが見られます
 熊谷市ムサシトミヨ保護センターの展示室や埼玉県環境科学国際センター展示館の水槽などで見ることができます。
 この他、熊谷市では、夏休みにムサシトミヨと元荒川の観察会を、秋には市役所でムサシトミヨの水槽展示を行なっています。


取材日:2005年5月11日/取材記者:みいちゃん


ムサシトミヨ 元荒川(もとあらかわ)

■お問い合わせは
熊谷市ムサシトミヨ保護センター見学について
熊谷市教育委員会 社会教育課  TEL 048-524-1111
 
ムサシトミヨの研究などについて
埼玉県環境科学国際センター 自然環境担当  TEL 0480-73-8370


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