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 熊谷のことをもっと知りたい!!
今回の知恵 熊谷人物伝


 明治期の埼玉県の街並みを知ることができる「埼玉県営業便覧」(明治35年発行)には川越に次ぎ、
2番目に大きな商業の町として熊谷が紹介されています。埼玉県の中心地とその機能を示す
埼玉県統計書 人口分布図が町の力を表しています。
 そんなわが町「熊谷」には創業100年を越す「老舗」がなんと100社以上あります。江戸時代、宿場町として栄えた熊谷の名残と旦那衆の心意気をそんなみなさんが受け継いでいます。商業を取巻く厳しい状況がつづく昨今ですが、ここぞとばかりの底力を発揮されている、元気の出るお店(会社)をシリーズでご紹介していきます。第2回目は熊谷市宮町にある、「(有)横田伊三郎」です。     (ライター Kurihara)


      熊谷染の礎、そして、宇野千代きもの専属工房へ
第101回 (有)横田伊三郎
      (老舗訪問シリーズ NO.2)
2010年9月30日更新


くまがやねっと 熊谷人物伝 横田伊三郎
工房
昭和20年8月14日熊谷大空襲で焼かれ、
戦後建て直した工房。夏場工房内は35℃を
越えるが染料がすぐに乾かないように
湿度を80%にする。
染色は熊谷伝統の地場産業
 熊谷には古くから染色という地場産業が存在し、明治以降、木綿から絹物へと需要が増えるにつれ、捺染中心へと移り変わってきた。「熊谷染色の歴史」(熊谷の染色を語る会S59年発行)によると、明治初年から昭和初年頃までの熊谷捺染工場の分布図には84軒もの工房がひしめいている。
 成田用水や星川など、水洗いに欠くことのできない清冽な湧き水が、染色を志す人々を引き寄せたのだった。
 その中で「熊谷染の先駆者」と名高いのが横田治三郎氏。当時の「横田染工場」では多くの職人を育て、「形治」(かたじ・屋号)としても知られるところだった。形治の4代目当主が横田透さんである。


くまがやねっと 熊谷人物伝 横田伊三郎丸刷毛 「宇野千代きもの」専属工房へ
 形治3代目伊三郎さんの腕を見込んだ染色家長谷田桐翠氏が、作家であり着物デザイナーの宇野千代氏の反物を手がけないかと話を持ち込んだ。ところがそれから間もない、昭和33年暮れも押し迫ったある日、宇野氏の経営するスタイル社が倒産。財産を一切なくした宇野氏からそれまでの染め代金は入らなかった。しかし、宇野氏は生地を一反一反手にしては熊谷に通い作品を生み出し続けた。伊三郎さんが染めた小紋は、再起をかけた銀座の小さなお店の店頭に並び、美しい桜の文様と斬新なデザインはすぐに反響を呼んだ。「宇野先生とはもはや肉親のような間柄で、当時小学校だった私は息子のように可愛がってもらいました」と透さん。工房の職人たちに混じり毎週日曜日は家族総出で「地染め」の作業を手伝った。宇野氏の作品を扱う工房が2軒あるが、専属工房は唯一ここだけである。


くまがやねっと 熊谷人物伝 横田伊三郎
「おしゃれは文明人の義務である」と話す
宇野さんと4代目透さん。
宇野さんの革新的なデザインは自由で美しい。50年経ってもいつまでも古くならない。
丁寧な仕事に作り手の思いが込められている。
 宇野氏は日頃から「陶器がわからない人に着物はわからない」と云っていた。透さんは大学時代から陶芸を学び、天才的な審美眼を持つ青山二郎氏の下へ器を焼いては持ち込んでいた。夢中だった。この時、「本物」を知る、価値あるものの魅力を叩き込まれた。近年では草木染めや藍染めの作品にも取組んでいるという。「染色は文化的要素が強く、残して行くことの意味の大きさを感じています」と透さん。
 また透さんは「桜ファンクラブ」を主宰。幻の熊谷桜をこの街に復活させ、学校や家庭に増やす地道な活動を続けている。
          くまがやねっと 熊谷人物伝 横田伊三郎 くまがやねっと 熊谷人物伝 横田伊三郎
            宇野千代小紋「刷染め花びら」淡鳩羽地               四月

            宇野千代さん愛用の小紋一つ。はらはらと舞い散る花びらが白で描かれた糸目(輪郭線)の中を
    地色の鳩羽と同系統の色で鹿毛の丸刷毛で一つ一つ濃淡にぼかし染めしてあり、残りの花びらは胡粉で描かれている。


あなたもチャレンジ!染色教室
 毎月第1土曜日の午後1時より染色教室を開いています。染める楽しさとあなただけのオリジナル作品を作ってみませんか。シルクストールや帯揚げ、Tシャツや日傘など一日で一作品出来上がります。
材料費+2000円(一作品6000円〜8000円程)


(有)横田伊三郎

 住所:熊谷市宮町1丁目136・熊谷税務署東隣
 TEL:048-521-2412 FAX:048-522-8739
 H  P : http://www.unochiyo-sensyoku.com/
 E-mail : unochiyo_sensyoku@yahoo.co.jp


取材日:2010年8月4日/取材記者:Kurihara
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