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 熊谷のことをもっと知りたい!!
今回の知恵 熊谷人物伝


 明治期の埼玉県の街並みを知ることができる「埼玉県営業便覧」(明治35年発行)には川越に次ぎ、
2番目に大きな商業の町として熊谷が紹介されています。埼玉県の中心地とその機能を示す
埼玉県統計書 人口分布図が町の力を表しています。
 そんなわが町「熊谷」には創業100年を越す「老舗」がなんと100社以上あります。江戸時代、宿場町として栄えた熊谷の名残と旦那衆の心意気をそんなみなさんが受け継いでいます。商業を取巻く厳しい状況がつづく昨今ですが、ここぞとばかりの底力を発揮されている、元気の出るお店(会社)をシリーズでご紹介していきます。第4回目は熊谷市本町にある、「長野屋(株)」です。     (ライター Kurihara)


       伝統美を伝えたい
第110回 長野屋(株)
      (老舗訪問シリーズ NO.4)
2011年2月26日更新


くまがやねっと 熊谷人物伝 長野屋(株)
長野屋店舗
関東随一の人形師
 埼玉県は全国屈指の節句人形産業が盛んなところで、そのシェアは全国の50%を占めているとか。人形造りはもっぱら分業で、衣装を着せて人形の胴体を作る職人さんを「人形師」と呼んでいる。一体の人形に関わる職人は、顔の部分をつくる「頭師(かしらし)」、ほかに、道具の職人だけでも「指物師」「挽物師」「塗師」「蒔絵師」「金具」「仕立師」と数多い。
 明治35年発行の「埼玉県営業便覧」によると越谷6軒、大沢(現在の越谷市)2軒、岩槻3軒、鴻巣31軒という記録が残されている。当時の熊谷は、装飾品小売業の分類として 雛人形、雛幟、玩物雛、雛菖蒲人形、玩物練人形、雛製造、人形師という記載があり、節句人形に携わった職人の数はおよそ100人いたという。
 そんな中、ゆうに創業150年余りの歴史をたたえる「長野屋」は、関東随一の人形師・六代綱季(つなすえ)本名・小谷野宏樹さんで知られるところ。綱季(つなすえ)という名は初代が「男の子は綱のように強く、女の子は末永く幸せに、そして夫婦が確かな絆で結ばれるように」との願いを込めて命名。代々、襲名している。
 祭礼で使われるようになった「山車人形」の歴史は古く、平安時代からと云われるが、この「山車人形」を現代で扱う人形師は国内でわずかに数軒しかない。その一人が綱季さんである。


くまがやねっと 熊谷人物伝 長野屋(株)
五代綱季さん(葉子さん)と
六代綱季さん(宏樹さん)


くまがやねっと 熊谷人物伝 長野屋(株)
作業風景、熊谷恵比寿
30歳からの挑戦
 六代綱季さんが家業を継ぐように母・葉子さん(五代綱季)に呼び戻されたのは30歳の時であった。学者を目指し、夢をあきらめての方向転換だったが、ニカワの匂いで目を覚ましていた幼いころからの感覚が蘇ってきた。子どもの頃、好きな彫刻の刀の削り方は祖父から教わり、職人さんの手元を飽きずに眺めていた。家業を継ぐことになった綱季さんに年輩の職人さんらは惜しみなくその技術を教えてくれた。
 それからは、自分の目を養うために「古い人形」を見て回った。江戸時代に作られた人形を見るたびに先人達の技法、仕事のよさにショックを受けた。「ピンチの連続です。けれど、昔の人形師にできて今の自分にできないはずがない」、と自身を鼓舞する。
 通常、山車人形一体を作り上げるのに2、3年は費やすという。ところが、1年で4体の注文を受け完成させたことがある。本来分業であるはずの人形造りを木の組み込みから完成まで全て手作業で彫り上げまで独りでこなす。お顔や髪、衣装、道具に至るまで手掛ける。その分、クオリティーも高くなりコストも抑えられるからだ。
 寝食を忘れ、夜通し作業に没頭する姿に母・葉子さんの心配は絶えない。母と話すときは互いの職人気質がぶつかり合いもする。しかし、綱季さんは「一回作ったら50年〜100年は次の注文はありません。それだけに納得のゆく喜ばれるものを作りたい。人形は自分が生きた証。ものづくりをしていて良かった」と話す。仕上がった人形にはその町の人々の想いを乗せる。


くまがやねっと 熊谷人物伝 長野屋(株)
山王祭牛若
雛人形
 ひな祭りの起源は平安時代の中頃。子どもたちの無病息災を願っておはらいをする行事が発端といわれている。
 五節句のひとつである上巳(じょうみ)の節句が3月3日と定められたのは室町時代のこと、庶民へは江戸から地方へと広まっていった。ひな人形は女の子が健やかに成長するのに、ふりかかる禍や厄を代わりに受けるといわれ、女の子の分身であるとも言われている。
 ここ長野屋さんのお雛様(節句人形)の特徴は半完成品であること。お客様の好みに合わせて衣装の最終工程を決める。それだけにひとつひとつがオリジナルの逸品となる。オーダーしてからほぼ1週間で手元に。豪華金襴で優しいお顔の雛さまの魅力美は世代を超えて気持ちを豊かにしてくれる。
  (株)長野屋
  ・埼玉県熊谷市本町1丁目38
  ・電話番号 048-522-1686
  ・シーズン中無休(11月から5月)


取材日:2011年2月5日/取材記者:Kurihara
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