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今回の知恵 熊谷人物伝

第153回
花火師 千原 繁さん(ちはら しげる)
2013年7月31日更新


 今回は、真夏の夜の風物詩『花火』の製造を行う花火師であり、『株式会社パイロテクニカ』の
代表取締役社長 千原繁さんをご紹介します。


熊谷人物伝 <プロフィール>
1948年 熊谷市に生まれる。
1970年 東海大学工学部工業化学科卒業。
同  年 オリエンタル火工(株)にて打ち上げ花火製作に従事。
1973年 東京化成工業(株)にて有機薬品の製造プラント開発に
      従事。
1977年 (株)マリン 社長就任し、(株)海洋化研 旭川工場長を
      兼務。煙火および火工品の製造開発を行う。
1984年 平山煙火工場長を務めながら、海外向け煙火の製造指
      導を行う。
1987年 (株)珠屋にて企画販売
1994年 (株)パイロテクニカを設立。
                        こちらから(株)パイロテクニカホームページをご覧いただけます。


あついぞ!熊谷 第64回熊谷花火大会
第64回熊谷花火大会
クリックすると拡大します。
 2013年8月10日(土)19時〜21時、熊谷市荒川河畔(荒川大橋下流)にて『あついぞ!熊谷 第64回熊谷花火大会』が開催されます。
 関東でも最大級の花火大会として親しまれ、毎年40万人を超えるお客様が訪れる『熊谷花火大会』では、地元企業や個人で提供することのできる『メッセージ花火』があり、打ち上げ前にメッセージをアナウンスすることができます。
 (株)パイロテクニカ出場の『スターマインコンクール』では花火業者の技の粋を集めた作品をお楽しみいただけます。
 …・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…
 開催可否情報(開催当日のみ 午前10時〜)
 開催可否情報が電話で確認いただけます。下記の番号よりお問い合わせください。
電  話 : 0180−99−3939(自動音声案内)



千原繁さんにお話しを伺いました。 

熊谷人物伝
Color Flame Fly(カラーフレームフライ)
インタビュアー(以下N) : 花火師を目指したきっかけがありましたら教えてください。
千原繁さん(以下千原さん) : 学生時代から水彩画を描くことや、科学的な事が好きでした。夜空のキャンパスを彩る花火にも興味があり、大学時代に卒論製作のため、花火製造のアルバイトを始めました。

N : 卒業後、(株)オリエンタル火工に就職されてから仕事を覚えるまで、どの位かかりましたか。
千原さん : 大学生時代に(株)オリエンタル火工でアルバイトをしていましたので、火薬の調合や製造方法など、既に学んでいました。そのため入社後には作業にとりかかることができました。

N : 花火を作るのに、気を遣うのはどんなところですか。
千原さん : 花火の表面(玉皮)や中にある紙(間断紙…星と割薬を仕切る)を均等に貼ることですね。均等に貼らないと花火が開いたときに美しい丸にならない。一寸あたり4〜5枚の紙を均等に貼るのは根気のいる作業です。1尺玉で約40枚の紙貼りが必要で、完成まで約1ヶ月はかかります。

N : 大変な作業なのですね。大きな花火だと直径やサイズはどの位になりますか。
千原さん : そうですね、3尺玉になると直径は1m、重さは200sになります。重量の半分はのりと紙の重さですね。制作時間も1尺玉の3倍、3ヶ月程でしょうか。

N : 千原さんが多く手掛けているのは『特殊効果花火』とお聞きしました。『特殊効果花火』とはどんな種類の花火なのでしょうか。
千原さん : 花火の総称は爆薬加工品ですが、大きく分けて「おもちゃ花火」と「通常花火」に分かれます。花火大会などで扱われる花火は「通常花火」に分類されますね。その「通常花火」の中にも「打ち上げ花火」と『特殊効果花火』があり、私共は『特殊効果花火』を主に扱っています。



 ≪パイロテクニカが手掛ける特殊効果花火の一例≫

熊谷人物伝
千原さんが手がけたイベントの様子。
こちらから動画をご覧いただけます。

 
熊谷人物伝
「Hurricane Flame System」
クリックすると動画がご覧いただけます。

N : 『特殊効果花火』とはどんなものですか。
千原さん : 舞台やコンサート、イベント会場などで、花火を音や光と共に演出して見せるものです。テーマパークなどのイベントでご覧になったことがある方も多いと思います。

N : 全体の構成などは、どのように作っているのですか。
千原さん : イベントに合わせて会場に発射台を設置するのですが、建物のシルエットや音楽・照明・映像などをトータルに考えながら花火の構成を練って行きます。その際、全体の構成に合わせて花火の製造も同時進行で進めていきます。

N : 音楽に合わせて打上げを行う時、音と花火を合わせるタイミングは難しいのではないですか。
千原さん : 昔は花火を高さ別に同時に開かせたり、地点別の花火を同時に開かせる時は、順番をそろえてスイッチを押していたのですが、今は全てプログラム制御されているので、手動での打上げはしません。最初の開始スイッチを押すと、1秒間を30コマに分割し、1/1000秒のタイミングで電子チップを制御して打ち上げてくれます。
熊谷人物伝
3つのモニターには、
『プログラム画面』、『発射筒の配置図』、
『実際の打ち上げイメージ』が表示されます。
N : 1/1000秒ですか。点火のタイムラグはないのですか。
千原さん : 昔のように導火線と火薬を使っている訳ではなく、プログラムソフトを使って、遠隔操作で電子点火していますので、タイミングよく発射することができます。火薬を使わないので、音と煙を軽減する事もでき、環境への配慮もにもなるのですよ。

N : 1筒に1発の花火だと、プログラム通りに打ち上げていくには、花火の数だけの発射筒が必要ということですか。
千原さん : そうですね。そのために発射筒を設置する会場や筒の配置、音楽と発射のタイミングなど、プログラムのデモ映像を見ながら構成していきます。
熊谷人物伝
プログラミングの画面。
中央、ピンクのタイムテーブルで音楽と
打ち上げタイミングなどが見れます。


熊谷人物伝
プログラムからの信号は
パネルを通じて発射筒を点火します。
テスト段階では豆電球を使って、電極の
動作チェック。花火の数が多いと
パネルの枚数も多くなります。
熊谷人物伝
プログラミングに合わせて
色々な花火が上がります。

熊谷人物伝
熊谷人物伝
発射筒の配置図画面。
沢山の筒が配置されています。


熊谷人物伝
画面を拡大すると、
発射番号が見て取れます。



N : 製品の開発も手掛けていらっしゃるそうですが。
千原さん : ロースモーク花火といって、花火発射時の煙の量が通常に比べて4%〜5%しか出ない花火の開発をしました。従来の木炭や金属を使用した火薬ではなく、植物繊維を独自に加工した火薬を使用しているため、煙の量を減らすことができました。

N : 通常の花火に比べて、4%〜5%の煙量は少ないですね。
千原さん : はい。そのうえ花火の燃えカスも出にくいというメリットもあるんですよ。煙や燃えカスの問題で花火を使えなかった場所やコンサート会場などの施設、煙が邪魔して使われなかった、映像演出などの部門にも活用していただきたいと考えています。
熊谷人物伝
『サンシャインシステム』
製品についてはパイロテクニカホームページよりご覧いただけます。

N :今後の活動や目標について教えてください。
千原さん : 工場で特殊効果花火をメインに、煙のない花火や導火線の生産、日本では作られていないシリンダーシェル花火の作製などを手掛けると共に、点火システム(コンピュータ制御ソフト)の製作など『もの作り』に力を注いでいきたいと考えています。

N :最後に花火師を目指す方へ一言をお願いします。
千原さん : 「花火が好き」という気持ちだけでは出来ない職業ですので、勉強して知識を蓄えて欲しい。あきらめずに頑張るのはもちろんですが、やはり「好きという気持ち」・「能力」・「努力」の全てが必要となります。花火の華々しさに憧れるだけでなく、技量・能力の向上に努めでほしい。また、花火の企画・演出を目指す方も、花火製造を学び構造を知ることで、花火の企画・演出に役立ててほしいです。



取材日:2013年7月8日/取材記者:なべさん
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