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♪おとうさんと あかちゃん♪ |
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熊谷市妻沼にお住まいの大熊義和さんは、童話・童謡詩・童句・俳句・川柳と広いジャンルで活躍されています。純真な心を持ち続けている大熊さんの作品は、子供たちに夢と希望を与えてくれるでしょう。 |
本職はお豆腐やさん。今も毎日お豆腐作りに精を出し、その傍ら作品作りに励んでいます。今回からシリーズで童話をご紹介します。 |
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おかあさんは、あかちゃんをおんぶして、おそうじをします。せんたくもします。
あかちゃんがねむると おかあさんは あかちゃんをおふとんにねかせて ひとやすみします。
おかあさんとあかちゃんはいつもいっしょです。 でも、おとうさんはちがいます。 |
あさ、かいしゃにでかけるときは、あかちゃんはねむっています。
よるは、おそくかえってくるので、あかちゃんは、もう、ねています。
おとうさんは、まいにち、あかちゃんのねがおばかりみています。
おとうさんは、ねむっていないときのあかちゃんをみたいとおもっていました
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あるひ、おとうさんのねがいがかなうことになりました。
やっと、やすみがとれたのです。おとうさんがこもりをすることになりました。
あかちゃんが、おもちゃであそびはじめました。おとうさんは、そばにしゃがんでみていました。
そのうちに、おもちゃあそびにあきたあかちゃんが、おとうさんにむかってはいはいしてきました。そばにくると、あかちゃんは、りょうてをあげてだっこのおねだりをしました。 |
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おとうさんは、よろこんで、あかちゃんをだきあげ、なんかいもたかいたかいをしました。あかちゃんは、けらけらとわらって、はしゃぎました。おとうさんがやめようとすると、もっともっとというようにからだをそってすねました。それを、なんかいもくりかえしているうちに、おとうさんはつかれてしまいました。おとうさんは、こんどはだいたあかちゃんとむきあって、わらったかおやおこったかおや、おどけたかおをみせてあやしました。あかちゃんは、きゃっきゃっとこえをあげてわらいました。 |
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おとうさんは、いっそう、うれしくなってあかちゃんにいいました。
「おめめは どれだ!」
すると、あかちゃんがこまったかおをしました。おとうさんは、ひだりめでウィンクをしてみせました。あかちゃんは、にっこりしてひだりめをゆびさしました。
「あたり!」
おとうさんは、よろこんで、また、ききました。
「おくちは・・・・・、どれだ!」
あかちゃんは、また、こまったかおをしました。 |
おとうさんは、おくちをぱくぱくしてみせました。
あかちゃんは、おとうさんのくちにゆびをあてて、にこっとわらいました。
「あたりぃ〜っ!」 |
おとうさんは、とびっきりのうれしいこえでいいました。
「では、さいごだよ。んん・・・・・と。ええ〜と、・・・・・おはなはどれだ!」
すると、あかちゃんは、すぐちかくにさいていたチューリップのはなをゆびさしました。
「ほんとうだ。おはながさいていた。おはなは、ママにおそわったんだね。よかった、よかった、おおあたりっ。」
ようじをおえたおかあさんが、いつのまにか、そばにきていました。 |
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「チューリップのおはな、だいすきなんですよ〜って、ね。・・・・・はい、パパおつかれさま!」
おかあさんが、とくいがおであかちゃんをひきとりました。
「ちいさいからだなのに、だいているとずしんとおもくなってくるね。まいにち、このこのおあいてではたいへんだね。ありがとう!」
おとうさんは、おかあさんのホッペに、やさしくキスをしました。 |
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