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たかしくんとあり |
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ようちえんからかえってきたたかしくんは、おやつのビスケットをたべながら、にわにでていきました。
(だれか、あそびにこないかなぁ・・・?)
いくらまっていても、だれもきそうにありません。
しばらくして、ふとあしもとをみると、ありが一ぴき、えさをさがして、ちょろちょろとあるいていました。
たかしくんは、ビスケットをゆびでこまかくつぶして、ありのまわりにぱらぱらとおとしてやりました。
ありは、よろこんでたべるかとおもったら、たべないで、どこかへいってしまいました。
「せっかくこなにしておとしてやったのに。・・・きらいなのかなぁ?」
たかしくんは、がっかりしました。 |
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まもなく、さっきのありが、なかまを4、5ひきつれてもどってきました。
(おなかがへって、えささがしをしていたのに、それをがまんして、なかまにしらせにいったんだなぁ!)
たかしくんは、すっかりかんしんしてしまいました。
でも、おどろいたのはそればかりではありません。
そのありたちもみんなどこかへきえてしまったのです。
(せっかくぼくのすきなビスケットをわけてあげたっていうのに、きらいだったなんて、しんじられないよ。)
たかしくんは、じめんにおちたビスケットのこなをぼんやりとみつめていました。 |
やがて、ありたちがたくさんのなかまをつれてもどってきました。
ありたちは、そこではビスケットをたべないで、ちいさくなったつぶをくわえては、もときたほうへはこんでいきます。
もどりみちで、なかまにであうと、くちとくちをふれさせて、ながいひげをゆらしています。
「まだ、ありますか?」
「ええ、ありますとも!」
「こどもや、お年寄りのたべものがなくてこまっていたところです。」
「うちもおなじです。はっはっはっ。」
そんなにぎやかなはなしごえがきこえてくるようでした。
たかしくんは、じぶんのたべるビスケットがなくなるまで、ゆびでつぶしてやりました。 |
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そのばん、おかあさんが
「たかしちゃん、おやつのビスケットおいしかったでしょう?」
といいました。
たかしくんは、
「うん。とってもおいしかった!」
とこたえました。
あらあら、たかしくんはおかあさんにうそをいいましたね。どうしてうそなんかついたのかしら? |
取材日:2007年4月16日/取材記者:あきちゃん |
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